長崎南ロータリークラブ

シーマンズ・ホーム

絵葉書がささやく旧長崎居留地の歴史

vol.9

シーマンズ・ホーム(水兵休息所)

外国人水兵たちが酒場の誘惑に駆られることなく、安息できる施設をつくろうという動きは長崎居留地の早い時期から起きていたが、明治28年(1895)、アメリカ海軍の軍艦チャールストンの水兵一団が健全な休息所を造ることを提案し、更に650円の寄付金まで出したことにより進展を見せた。九州各地のプロテスタント宣教師などからも支援の声があがり、同年11月、大浦26番地の建物を購入し、シーマンズ・ホーム(水兵休息所)を開設する運びとなった。当初は9部屋しかなく16人しか泊まれなかったが、翌年には、34人分のベッドが置かれた12の部屋、2つの浴室、大きな食堂と談話室、書斎部屋に図書室が設置された。しかし、それでも複数の軍艦が同時に長崎港に停泊すると足りなくなるほどであった。

シーマンズ・ホームは太平洋戦争が開戦した昭和16年(1941)まで営業を続けた。開業してから半世紀近くにわたって外国人船員たちに健全な安息の時と気晴らしの場を与え、長崎居留地において特異な施設の一つとしてその役割を果たしてきたのであった。建物は戦時中の強制疎開の一環として解体され、現在はその跡地が梅香崎中学校のグランドの一部となっている。

写真説明:大正期の絵葉書にみる大浦26番地の「シーマンズ・ホーム」(水兵休息所)。

写真/文章提供:ブライアン・バークガフニ氏
ブライアン・バークガフニ 氏
ブライアン・バークガフニ 氏
長崎総合科学大学 環境・建築学部 教授
グラバー園 名誉園長

1950年カナダ、ウィニペグ市に生まれる。1972年、ヨーロッパ、インド等を経て来日。

著書には『蝶々夫人を探して』(かもがわ出版、2000)、『庵』(グラフ社、1995)、『時の流れを超えて:長崎国際墓地に眠る人々』(長崎文献社、1993)、『花と霜:グラバー家の人々』(長崎文献社、1989)などがある。

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